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【エバマガ2021-15/20回】宇宙飛行士選抜試験の正体 最終選抜試験② ~閉鎖環境試験のすべて①~

【追記】2023.1.21 エバマガ2021として体裁を整えるレベルの再編集をしました。

~閉鎖環境試験のすべて①~
最終選抜試験編の2回目です。
いやいや、まだ最終選抜なんて・・・と思う方もいるかもしれませんが、最終的に選ばれるには最後にここを通過しなければなりません。最初の関門セレクトアウトを抜けなければ先に進めないので、セレクトアウト向けの準備ももちろん大事ですが、付け焼き刃では通過できない最終選抜に向けた準備も早めに頭に入れておくことは必要なことでしょう。期間1か月半に渡り、18日間におよぶ試験で宇宙飛行士候補者を選ぶ試験は、超濃密です。
JAXA宇宙飛行士選抜側との最後の真剣勝負、今回から閉鎖環境試験シリーズです。

閉鎖環境試験の全貌

閉鎖環境試験は、JAXA筑波宇宙センター内にある宇宙ステーションを模擬した閉鎖環境設備内で行われました。
内部構造は下の図のとおりです。「きぼう」日本実験棟が2つ連結しているような構造になっており、居住モジュールと実験モジュールに分かれていました。

閉鎖環境設備
閉鎖環境設備​


監視カメラ(青点)が5台設置されており、トイレやシャワーを除き、どこにいても監視下にあります。各所にマイクが設置されていましたので、基本会話は筒抜けです。

ダイニングエリアには、10人が着席して食事をとれるダイニングテーブルがありました。
飲み物が完備された冷蔵庫や食器棚、台所もあり、22時以降の自由時間には、大体このエリアに集合していました。

ベッドは備え付けのカプセルホテルのような2段ベッド8人分があります。第4期選抜ではファイナリスト8名でしたが、第5期では8名に絞り込めなかったため、10名がファイナリストになりました。
そのため、右下の高照度照明エリアに2台のエキストラベッドを使い、10名分の寝床を確保しました。
シャワーは1台、トイレは2か所でした。
シャワーは1人10分と決められていました。それでも全員が入り終えるのに1時間40分かかることになります。

パスボックスと物品受け渡し庫を使って、外部とのやり取りが行われました。
食事は、決められた時間に1日3食、物品受け渡し庫を経由して運ばれてきました。かなり豪華で量も多く、近くのホテルから配膳されていたようです。第4期は食堂から配膳されていたそうなので、食事は大幅グレードアップしていました。1週間、運動不足になってしまうのと、食事を残すと全て記録されているようだったので残しづらかったため、全員が太ってしまったと思います。第4期選抜では、高照度照明エリアにエアロバイクがあり運動できたようですが、エキストラベッドを入れたため、第5期選抜時には運動設備が取り除かれてしまったんですね。

管制室との連絡はインターホンを使って、基本日直が行うことになっていました。日直は、半日ずつ交代制で、課題の準備や報告書作成、何かあった時の管制室との連絡を担当しました

毎朝の日課として、高照度照明エリアにあるTV電話ルーム(個室)で問診が行われました。
また、掃除は毎日全員で行いました。

出入口は2か所ありますが、入る時と出る時を除いて1度も開けられることはありませんでした。

大まかなスケジュールは以下のとおりでした。毎日、スケジュールは厳格に決められていました。まさに、宇宙ステーションでの宇宙飛行士に課せられるタイムラインのようでした。
消灯までは全員がっつり起きていたため、ロングスリーパーのぼくにとっては6時間睡眠は少々キツかったです。

閉鎖スケジュール
閉鎖環境試験スケジュール


ルール(制限事項)は以下のとおりでした。
それほど特殊なことはないですが、カフェインを一週間一切取れないのは、多少影響のあった人がいたかもしれません。ぼく自身は、それほどカフェインが得意ではないため、まったく影響はありませんでした。

✓ 閉鎖設備内にはカフェインを含む飲料禁止。(水、ポカリ、麦茶、ジュース完備)
✓ 携帯電話持ち込み禁止。(外部との通信禁止)
✓ アルコールを含んだもの(化粧品や整髪料も)の持ち込み禁止。
✓ 閉鎖設備内での写真撮影禁止。
✓ 閉鎖設備内での喫煙禁止。
✓ 試験期間中の薬物禁止※(サプリメントも控えること)
  ※どうしても必要な場合相談

閉鎖環境試験で行われた課題について紹介していきます。
今回は2回セットx3回、合計6回も行われたディベートについて紹介します。
個人的にはとても苦手で、国松さんとともに6戦全敗を喫してしまいました。年上の青井さん、油井さんの強さが光りました。
ディベートは、議論の経験値が物を言うので、ぼくの反省も踏まえ、準備しておくと良いでしょう。コツのようなものもありますし、一度真面目に学ぶと多くのビジネスシーンでも生きてくると思います。
今回は、そのディベートを深掘りしていきます。

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