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【エバマガ2021-19/20回】宇宙飛行士選抜試験の正体 最終選抜試験⑥~NASA試験のすべて②~

【追記】2023.1.21 エバマガ2021として体裁を整えるレベルの再編集をしました。

~NASA試験のすべて②~
最終選抜試験編の6回目です。
いやいや、まだ最終選抜なんて・・・と思う方もいるかもしれませんが、最終的に選ばれるには最後にここを通過しなければなりません。最初の関門セレクトアウトを抜けなければ先に進めないので、セレクトアウト向けの準備ももちろん大事ですが、付け焼き刃では通過できない最終選抜に向けた準備も早めに頭に入れておくことは必要なことでしょう。期間1か月半に渡り、18日間におよぶ試験で宇宙飛行士候補者を選ぶ試験は、超濃密です。有人宇宙開発のメッカJSC(ヒューストン)で行われるNASA試験のシリーズ2回目(最終回)です。

宇宙飛行士選抜試験における面接というもの

宇宙飛行士選抜試験では、山のように面接があります。
それはそれはもうしつこいくらい、たくさんの種類の人と、何度も何度も何度も何度も面接が行われます。
第5期選抜の事務局長を務められた柳川さんはこう言っていました。

面接をしないと(書類だけでは)本当のその人のことは分からない。だから、本当は応募してくれた方全員と面接をしたいのだけど、流石にそれは時間的にやることが出来ないので、セレクトアウトをさせてもらって、50名程度に絞ってから本格的な面接を行った。

二次試験以降に行われた大量の面接の中でも、NASAで行われた面接は一味も二味も違うものでした。流石、50年の宇宙飛行士選抜・育成の歴史があるNASAで行われた面接は、決して表面的な面接で終わることはなく、その人が経てきた人生とそこから培われた人間性にまで踏み込むような濃く深いものでした。
今回は、そんなNASA試験で行われた面接の”真髄”に迫ります。

NASA試験最大の山場 ASB面接

ASB(Astronaut Selection Board)面接の面接者は以下の構成でした。
宇宙飛行士室(Astronaut Office)が、宇宙飛行士の視点から候補者を目利きする構成だったと考えられます。

Mr. Duane Ross: Astronaut Candidate and Human Resources Office
Mr. Scott Wood: Astronaut Candidate and Human Resources Office
Mr. Steve Lindsey: Chair/Chief, Astronaut Office
Ms. Suni Williams: Deputy Chief, Astronaut Office
Ms. Stephanie Wilson: NASA Astronaut
Mr. Dom Gorie: NASA Astronaut
Ms. Ellen Baker: NASA Astronaut
Mr. Garrett Reiseman: NASA Astronaut
Ms. Natalie Saiz: Director of Human Resources
※土井飛行士と柳川事務局長がオブザーバーとして参加

冒頭で
「なぜ君は今ここにいるんだい?(どうして宇宙飛行士になりたい?)」
という質問から始まるところは普通の入りなのですが、これまでの面接と一味違う点は、その後に自分のこれまでの半生を語るところから入る点でした。そして語っている最中にランダムにガンガン質問が飛んでくるというスタイルというのも面接としては独特でした。

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