【エバマガ2021-2/20回】宇宙飛行士を本気で目指すきみへ② ~夢を目指す思考法 プランBと一石二鳥~
狭すぎる門
ぼくは、宇宙飛行士を夢見るものならば、宇宙飛行士選抜試験に絶対挑戦すべきだと思っています。
そのような大きな目標に向かって努力を重ねることは、結果がどうであれ自分を大きく成長させてくれるからです。
さて、ここで2008年以降の各国の宇宙飛行士の倍率をみてみましょう。
◆ NASA 1525倍(2015), 790倍(2011), 390倍(2008)
◆ CSA(加) 1886倍(2016), 2675倍(2008)
◆ ESA(欧) 1402倍(2008)
◆ JAXA 321倍(2008) ( )は選抜開始年
NASAの倍率の動きが大きいのには背景があります。2008年は、スペースシャトルの退役が既に決まっており、スペースシャトルに搭乗することは叶わない、そして、しばらくはロシアのソユーズに頼らないと宇宙へアクセスできなくなることが分かっていました。NASAから大量に宇宙飛行士が去ったのもこの辺りの時期になります。一方、2015年には、米国民間企業による有人宇宙船開発が進み、月ステーションへの宇宙船、そして火星有人探査まで見据えた計画が掲げられていました。この7年というタイミングの差で、倍率にして約4倍もの開きがありました。
人生の中でも脂の乗り切った大事な時期はそう長くはありません。それに対し宇宙開発の進みはなんとゆっくりとしたことか。タイミングに非常に左右される職業と言えるでしょう。
日本では、前回2008年が最多の963名という応募人数でしたが、このときは今と比較して日本の有人宇宙活動の知名度が破滅的に低い状況でした。当時の首相が、「なぜ日本は有人ロケットを作らないのですか?」と表敬訪問した日本人宇宙飛行士に尋ねた話を聞いたときはズッコケました。当時は、宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」は打ち上げられる前、宇宙船「こうのとり」もまだ飛行しておらず、ちょうど『宇宙兄弟』の連載が開始されてすぐのころでした。宇宙ステーション計画における日本の活動を知る人は、今の1/100にも満たなかったのではないでしょうか。
今では「はやぶさ」ブーム、『宇宙兄弟』の大ヒット、宇宙ステーション「きぼう」「こうのとり」での地道な実績の積み重ねにより、多くの方が宇宙に興味を持ち、多くの方が星やISSを見るために夜空を見上げてくれています。これだけ認知度が上がったので、次回の応募人数は3~5倍程度には増えるのではないかと予想します。
世界的に見て、大体おおまかに1000倍というのが平均的な倍率になります。
応募条件の段階でそれなりに絞っているため、それをクリアしてなお1000倍というのは、かなりの狭き門と言えると思います。
その上、持って生まれた身体的要素や、タイミングや風向き(JAXAがどういう人を取りたいか)もあり、努力や熱意だけではどうしようもない実力以外の運の要素も多分にあるわけです。
これらのことは、当然、誰もが同じ条件ですので、仕方のないことです。そのことを仕方のない、自分がコントロールすることができないものとして、どう向き合っていくかをあらかじめ考えておくべきでしょう。
注)もし、「宇宙に行ってみたい」がゴールの場合は、もちろん他の選択肢や方法もあります。
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