【エバマガ2021-9/20回】宇宙飛行士選抜試験の正体 実はめちゃくちゃ大事なこと⑦ ~非認知能力を高めよ①~
はじめに
最近、教育業界でも注目されている“非認知能力”。
幼児教育や子育てにおいて注目されていますが、宇宙飛行士選抜では、この能力を重要な評価項目とした試験を行ってきました。
これまでも宇宙飛行士の“資質”(ライト・スタッフ)の中の項目としてこの非認知能力を見てきました。ぼくのマンダラチャートでも随所に出てきています。これらの能力が一体何なのか?どういうシーンで発揮されるものか?どうすれば高めることができるのか?しっかりと掘り下げることで、一つ高い視点からこの能力を客観視できるくらい咀嚼していきしょう。
非認知能力とは?
“非認知能力“とはいったい何の能力なのでしょうか?
対極となる”認知能力”は、IQなどに代表される試験等で数値化できる学力の指標です。それに対し、非認知能力はそれ以外の能力全般を広く指します。学力と違って、点数が明確につけられない能力のことです。
具体的に見ていきましょう。
非認知能力は、諸説ありますが、ここでは9つに分けられるものを使ってみましょう。
どうでしょう?
生活していく上で必要な能力というのはよく分かると思います。
教育学の権威である東京大学名誉教授の汐見稔幸氏は、非認知能力を魚捕りに例え、次のように説明しています。
最後の2つはやや強引にねじ込まれた感がありますが(笑)、分かりやすいですね。
大昔から人間が生きていく上で必要な能力、ということがよく分かります。
非認知能力は、心の動きに連動するものです。
人間の気質や性格的な特徴という内面的なものに関する能力です。敢えて一言で表現するならば、『人間力』や『生きる力』という言い方ができる、より良く生きていく上で非常に重要な能力と言えるでしょう。
これらの能力は、人が育っていく過程で育まれていくものだなというのは容易に想像がつくと思います。これらの能力を駆使して、これまでさまざまな人生シーンを色々と苦労や試練があっても乗り越えてきたのではないでしょうか?これらの能力を使ってくぐり抜けてきた様々なことが、さらに自分を成長させてくれたとも感じられるではないでしょうか?
普段の生活、学校生活、部活動、課外活動、社会生活などで自然と身に着けてきた能力だと思います。
“要領がいい”人は、非認知能力に長けている印象がありますね。
非認知能力に大切なのは、何をするかではなく、どのようにするか、です。
何のための活動であるかは、実は何でもよく、遊びでも勉強でもスポーツでもなんでも構わないのです。他者と関わり合いながらその活動を充実させていくために試行錯誤して考えて行うすべてのことが非認知能力を高めてくれます。
ぼくが作ったマンダラチャートでは、2-4-5-7の十字部分がおおむね非認知能力を指しています。これを見ると、宇宙飛行士の資質のおおよそ半分は非認知能力に由来したものであると言っても良いかもしれません。
それでは、これらの能力が宇宙飛行士にとってなぜ重要なのか?見ていきましょう。
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