宇宙飛行士選抜試験の正体 最終選抜試験⑤ ~NASA試験のすべて①~
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宇宙飛行士選抜試験の正体 最終選抜試験⑤ ~NASA試験のすべて①~

~NASA試験のすべて①~
最終選抜試験編の5回目です。
いやいや、まだ最終選抜なんて・・・と思う方もいるかもしれませんが、最終的に選ばれるには最後にここを通過しなければなりません。最初の関門セレクトアウトを抜けなければ先に進めないので、セレクトアウト向けの準備ももちろん大事ですが、付け焼き刃では通過できない最終選抜に向けた準備も早めに頭に入れておくことは必要なことでしょう。期間1か月半に渡り、18日間におよぶ試験で宇宙飛行士候補者を選ぶ試験は、超濃密です。有人宇宙開発のメッカJSC(ヒューストン)で行われるNASA試験のシリーズ1回目です。

オペレーションスキルのセンスを測るのがNASA試験だ!

JAXAで行われた閉鎖環境試験では、主にチームスキルが測られました。10人や5人のグループ作業におけるチーム内での動きに注目されました。
一方、NASAでは宇宙飛行士が訓練にも使用するシミュレータを実際に使った個別試験で、オペレーションスキルに対するセンスを測るものでした。

若田飛行士は、「宇宙飛行士にとって何が大事だと思いますか?」という質問に対し、

宇宙飛行での仕事を安全且つ確実に遂行していくために不可欠なものは、いわゆる「運用のセンス」であり、そこには「正確な状況把握」、「的確な作業の遂行」、「優れたコミュニケーション」といった資質が含まれます。

と回答しています。
このことからも、NASAでのシミュレータを使った訓練で測られるオペレーションスキル、これも宇宙飛行士の資質をみる上で非常に重要ということがわかります。シミュレーションと言っても限りなく本物に近く、リアルミッションと同じ環境で行うものです。まさに、ミッション遂行能力そのものを見ると言っても良いでしょう。

さらにオペレーションスキルと言っても、単なる“操縦スキル"だけではなく、CRM(クルーリソースマネージメント)(復習したい方はリンクへ)の要素も含まれることを忘れてはいけません。実際の訓練では単に機器やシステムの扱い方を学ぶだけではなく、同じチームである管制官や機器担当から重要なポイントを聞き取ったり、実験の背景や想いなどを知ったり、地上チームとのコミュニケーションからも様々なものも学びます。そういった訓練の積み重ねによって、ミッションの成功確率を極限まで高めていくのです。

若田飛行士が運用のセンスが大事だと痛感したのは、日本ではなかなか行うことができない、NASAにおける本物に近いシミュレーターを使った訓練で感じたことだったのではないでしょうか。
次のフライトに向けてNASAで行う訓練の様子をツイートする若田飛行士を見ていて、オペレーションスキルすなわち運用のセンスをさらに磨いているんだなと感じています。

NASAで行われたオペレーションスキル試験は、
「事前に説明を受け、手順を理解し、シミュレーションに臨む」
という一連の流れに沿って行われました。
これはまさに、宇宙飛行士がミッションに向けて行う訓練そのものでした。
宇宙飛行士の使命であるミッション遂行をすること、それを達成する能力があるかどうかを、実際に宇宙飛行士が使っているシミュレーション訓練により測ることで、それぞれがもつ運用のセンスを直接見ようとする、それを有人宇宙開発のメッカ ヒューストンにあるNASAジョンソン宇宙センターで行うという試験でした。(ファイナリストのテンションはそれはそれは最高潮に達していました!)

これらのスキルは、NASAではレーティング(格付け)が行なわれています。各宇宙飛行士に対し、スキルに対し点数がつけられているのです。当然、宇宙飛行士のアサインにも影響します。ハイレベルな宇宙飛行士の中であっても、さらにスキルが競われている。お医者さんの外科手術の技術など想像するとしっくりくるかもしれませんが、そういう世界ですので、選抜の段階でこういったセンスを測る試験があることは必然と言えると思います。

それでは、NASAで行った宇宙飛行士の花形業務、船外活動(EVA)とロボット操縦の2つについて、具体的に詳しく見ていきましょう。

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Takashi UCHIYAMA/内山崇

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2008(~9)年第5期JAXA宇宙飛行士選抜試験ファイナリスト。宇宙船「こうのとり」初号機よりフライトディレクタを務め、9機連続成功に導く。現在、新型宇宙船開発に携わる。趣味:バドミントン、ゴルフ、虫採り(カブクワ)。宇宙船よりコントロールの効かない2児を相手に、子育て奮闘中。