【エバマガ2021-6/20回】宇宙飛行士選抜試験の正体 実はめちゃくちゃ大事なこと④ ~”セレクト・アウト”をくぐりぬけよ①~
第5期選抜一次試験(筆記試験)の概要と解説
第6期では応募要件を緩和し、間口をめいっぱい広げることが検討されています。間口を広げる分、宇宙飛行士に必要な素養や持っておくべき基礎力を、肩書ではなく実力を測ることでふるいにかけないといけません。その分、一次試験(いわば、宇宙飛行士のセンター試験)で”セレクト・アウト”させる倍率が高くなることは十分想定しておくべきでしょう。
宇宙飛行士の素質は、知識量で選ぶわけでは決してないことは十分念頭に置きつつも、前半の”セレクト・アウト”フェーズにおいては避けて通ることができないのが筆記試験です。パイロットとしてオペレーション能力抜群だった前回ファイナリストの白壁さんも、一次試験対策に最も力を入れた(自分の弱点なので)と言っていました。
英語もそうですが、一次試験(センター試験)科目は、社会人になると触れないため忘れてしまっていることも多いと思います。こつこつとしっかり準備しておくべきでしょう。
まず、第5期選抜を行ったJAXA選抜側から世に出されている情報からおさらいしていきましょう。
スタンスは非常にわかりやすいですね。100点はいりません。弱点をなくしましょう。
実際に出された試験を覚えている範囲でお伝えします。レベルとしては、国家公務員試験のレベルだと思いました。
◆ 一般教養試験(人文科学・社会科学)
国家公務員試験の一般教養問題に近い(歴史・近代史・政治・国際情勢など)
◆ 基礎的専門試験(数学・化学・物理・生物・地学・宇宙開発関連)
数学(10問) 小問・立体/3次元
物理(10問) ボールの跳ね返り、電磁気(ダイオード入り)
化学(10問) 鉛電池と電気分解、金属イオン
生物(10問) 細胞/動植物、生殖・発生
地学(10問) 惑星の運動、地球内部構造/P波S波、うるう年、惑星質量/連星
宇宙(20問) JAXAのこと/ISSのこと/ロケット・衛星/宇宙飛行士/太陽系
例:JAXA予算、ISS参加国数、圧力の単位換算、木星衛星の数、Sバンド通信周波数、月-地球距離、静止衛星高度、日本とGMT時差etc.
◆ 心理検査(マーク式) 広く一般で用いられる心理適正検査
◆ 医学検査(人間ドック程度) 健康維持に努めましょう
自然科学系の学士レベルがボトムラインであり、宇宙飛行士訓練を受ける上で必要な基礎力として求めています。宇宙飛行士候補として選ばれると、航空宇宙工学や様々な実験を行うにあたってベースとなる基礎学力などは当然のように求められます。自分が宇宙飛行士になったとき、当然知っておくべきだと思うものは身に着けておきましょう。
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