【エバマガ2021-14/20回】宇宙飛行士選抜試験の正体 最終選抜試験①~最終選抜試験の全貌
最終選抜の全体像
最終選抜試験の全体像を把握するところから始めましょう。
約半年におよぶ書類審査、英語試験、筆記試験、医学検査、各種面接を突破した10名が最後の関門に挑みました。2次試験3グループ(50名)からは、3~4名ずつが選ばれました。
ここから全18日間に渡る試験を行い、2~3名の宇宙飛行士候補を選抜する最後の工程になります。
全18日間の試験工程は以下のように大きく4ブロックで構成されていました。
① 平成21年1月11日(日)~18日(日)
JAXA筑波宇宙センターでの試験(7日間の閉鎖環境試験含む)
② 平成21年1月19日(月)~25日(日)
NASAジョンソン宇宙センターでの試験(①②は連続)
③ 平成21年2月3日(火)~4日(水)
JAXA役員面接・外部有識者面接・追加医学検査・パイロット養成試験
④ 平成21年2月23日(月)
JAXA理事長面接
→25日(水) 合格発表!
ファイナリスト10名はA~Jまで、受験番号順にアルファベットが割り振られました。最終選抜試験の間はずっとそのアルファベットが自分を表す記号となりました。4月中に書類を提示したぼくは受験番号79番(全963人中)だったので"B"でした。(それよりも早かった金井さんが"A")
"G"にあたった油井さんは、しばしば、「G(爺)さんです」というお手軽なギャグを持ちネタとして使っていました。
ここまで徹底的に、身体、精神心理、チーム能力、オペレーション能力などを手間と期間をかけて、総合的に宇宙飛行士の資質に着目して測っていく試験は、他に類を見ないと思います。
閉鎖環境という特殊環境でのチームスキル、それに伴う精神・心理的な耐性、オペレーションスキル、多重的に行う意思・覚悟を問われる面接など、これだけ詳細に各種能力を測られ、多角的に評価されたら、もう言い訳のしようがないな、というのが感想でした。受験者としては、やり切ったと十分に感じることができる試験で、「自分のもっとここを見て欲しい!」みたいな物足りなさというか、不満は、全然沸き起こりませんでした。
全力で体当たりでぶつかる価値のある、貴重な体験をさせてもらったと今でも思っています。
そしてぼくが体験した第5期選抜では、加えてNHKの密着というメディアの要素が入り込みました。
個人的な感想としては、2つの側面があります。以前は完全に閉じられていたものからの透明性確保の観点で「よくぞやってくれた」という非常にポジティブな思いと、メディアがここまで選抜過程および受験者に入り込んで密着すれば影響は少なからず与えてしまう、です。
許容範囲だったとは思っていますが、次回はもっと多くのメディアに対しオープンにするとなると、運営側はしっかりとしたルール作りをしなければならないし、受験者としては、運営の対応が完ぺきではないことを想定し、ドライに心の中では線を引いた上での対応を、自分でコントロールできるようにしておくことが重要、というのは頭に入れておくべきでしょう。
それでは、各ブロックの試験内容を順番に見ていき、試験の全貌をつかんでいきましょう。
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