エバマガ総括 伝えたかったこと
これまで10か月に渡り、『宇宙飛行士挑戦エバンジェリストマガジン』を発行し続けてきました。
プロフェッショナル宇宙飛行士という、一体何がどういったレベルで求められるのかが分からない、憧れはするものの究極的な存在過ぎてそれに近づくために何をすれば良いのかが分からない究極的な目標に対し、どう立ち向かっていけば良いかおよび正しく挑戦するためのアプローチを、ぼくの13年前の挑戦の経験から得られた知見をベースに体系化したものがこの『宇宙飛行士挑戦エバンジェリストマガジン』です。
宇宙飛行士というものを正しく理解し、宇宙飛行士に必要な資質を考えに考え抜き掘り下げ、それを審美眼のごとく“ライト・スタッフ”を見出し見抜く選抜プロセスを審査側視点から考察し、求められるものが何かを徹底的にあぶり出しました。これ以上のものはないと自負できます!
本気で宇宙飛行士を目指す方に向けて、挑戦者の方がそれぞれのポテンシャルを最大限発揮し、宇宙飛行士挑戦においてベストパフォーマンスで挑むことができるよう、ぼくが触媒となってサポートしていく気持ちで、全身全霊をかけて書き連ねてきました。(無駄はそぎ落とし13万字のボリューム)
ファイナリストスペシャル対談は、より多角的な視点で宇宙飛行士挑戦を捉えたい想いから、ファイナリスト・選抜とりまとめ・選抜密着メディア・宇宙飛行士挑戦者・宇宙ライター・宇宙飛行士と幅広い方々をお招きしてお話を伺いました。貴重な時間を割いて下さって対談を受けてくださった皆様に大感謝です。
では、エバマガ記事(全20本)&対談(全10本)を目次にして振り返ってみましょう。(リンクさせています)
最後に決めるもの
最終的な宇宙飛行士候補者の選定は、簡単に言うと、これまで解説してきた多種多様な試験項目のすべてをレーティング(例えば、A~C)し、集計して上位から選んでいくというやり方で行われます。
最終選抜試験においても、“足切り”に近い“不適“項目による脱落もあるのではないかと思っています。また、点数が非常に拮抗しているような場合には審査委員による審議が行われるであろうと思います。それぞれの項目に対するレーティングを集計して数値化したとしても、その数値に対する厳密性といいますか、”誤差”はある程度存在することになるからです。総合点で評価しようとする場合、審査項目ごとに付与される点数の割合についても、その重要性から重みづけがされるべきですが、その厳密性にも“誤差“が伴うでしょう。
そうした厳密な審査を行うJAXA宇宙飛行士選抜における審査委員会の構成は以下のようになっています。
宇宙飛行士候補に選ぶということは、その人の人生を預かることにもなる非常に重い責任があります。加えて、日本人宇宙飛行士を選ぶということは、日本国代表を選ぶということでもあります。JAXAという一組織にとどまらない責任が課せられるものです。ですから、文部科学省をはじめとした政府や、国民に対しても、なぜこの人を宇宙飛行士候補に選んだかに対する客観的説明ができなければなりません。そのため、重厚な審査・選抜体制を構築し、客観性が担保できる厳密な審査を行う必要があります。
総合人間力を測るような宇宙飛行士選抜試験では、客観的な数値が難しい側面が大いにしてあります。
数値化することが難しい各試験項目に対するレーティングは、審査委員ひとりひとりがつけていくことになります。場合によっては、複数の審査委員のレーティングを集めて平均化処理を行うこともあるでしょう。つまり、ひとりの審査委員がレーティングした時点では主観が伴うことになります。それを場合によっては審査委員の協議を行いながら平均化処理をしていくことで、主観レーティングを最大限多重化していくことで、客観性を担保するわけです。